2022年05月31日

立禅の安定

空体道教室で会員の皆さんの立禅の安定度を確認するため、私が立禅をしている会員さんの腕を前から押すことがよくあります。

今回はその立禅の安定度の段階を書こうと思います。

第一段階 押されたら手(腕)を引いてしまう。これは腕と体幹部が繋がっていないことの表れと言えます。

第二段階 押されたら、腰が後ろに反ってしまう。腕と体幹部はある程度繋がっていますが、上半身と下半身が繋がっていないことの表れです。

第三段階 押されたら、後ろに下がってしまう。身体はある程度纏まっていますが、脱力が出来ていないので簡単に押されてしまいます。

第四段階 かなりの力で押されても、姿勢を崩さず立禅の姿勢を維持できる。脱力がある程度進んでいて、押す力を足裏まで流すことが出来ている証拠です。

第五段階 押した途端にその力がすべて返ってしまい、押した方が後へよろめいてしまう。またそれ以上の力で押せば、よろめくどころが後へ飛ばされてしまう。脱力がかなり進み、全身に重さ(重力)が通っているので、力はすべて相手に返ってしまう段階。統一化の段階です。

まあ、その人の体質の問題もありますので、この段階通りに立禅の安定が推移するとは限りませんが、空体道ではだいたいこんな感じです。

え、私はどの段階か?ですか。う〜ん、希望的観測で五と言いたいところですが、いや、そこまで行っていないかも〜(笑)
posted by ロン at 22:48| 日記

2022年05月29日

ずれ

私も今年で63歳になります。

武術を指導していて、一番衰えを感じるのが、「ずれ」でしょうか。

心と身体のずれ・・・

50歳くらいまでは、組み手の時に、動こうと思った瞬間、ほとんどタイムラグがなく瞬時に身体が動いてくれました。

ところが50歳を過ぎてから、動こうと思ってから、身体が動き始めるまでに若干のタイムラグを感じるようになりました。これ、けっこう焦ります。心はこう動いてくれと命じているのに、身体が即座に反応してくれない・・・

ああ、自分も老いたな〜と感じる瞬間です。

で、どうしてそんな衰えカバーするかと言えば、こう動こう、ああ動こうと言う心を静めることだと私は気づきました。

動こうと心で思うから、タイムラグが生じるのです。だから逆に言えば動こうと思われなければ、タイムラグは無くなります。

長年の武術修行を信じて、何も考えず、何も思わず、自分の身体を信じて、ただ相手の動きに対応するだけ・・・

まあ、まだまだ未熟なので、たまには心の身体のずれを感じる時もありますが、50代の時より60代の今の方が、ずれの感覚は無くなって来ているようです。

会員の皆さんもあれこれ考え過ぎずに、自分の身体(の可能性)を信じて組み手にのぞんでみてはいかがでしょうか。



posted by ロン at 19:59| 日記

2022年05月23日

不可逆的

空体道の理想とする力の抜けた身体の質になるまでは、長い時間(期間)がかかります。

そうなるまでは地味な練習をコツコツ続ける以外に方法はありません。

ただ一旦、力が抜け始めると、よほどのことが無い限り、脱力の身体はもとの力みやすい身体に戻ることはありません。

その意味では空体道の身体は不可逆的な身体と言えるのです。

とても長い時間はかかりますが、そうなった身体はずっとそのままの身体の質であり、元には戻らないのです。

また加齢と身体の質の向上は関係はありません。続ければ、続けるほどその質は向上し続けるのです。

冒頭書いたように脱力の身体の質を得るためには、地味な練習をひたすら続けるしか方法はありませんが、その成果として不可逆的な素晴らしい身体の質が手に入ることになるのです。

会員の皆さんも不可逆的な脱力の身体になるために、練習の日だけではなく、日常生活全てにおいて、力を抜くことを意識して下さいね。




posted by ロン at 22:26| 日記

抵抗

空体道では組み手はあたりまえですが、対練においても崩し技、投げ技に対してしっかり対抗してもよいことによっています。

これは本気で抵抗する人間には多少力が抜けていても技は容易にはかからないと言う現実を知るためでもあるのです。

技がほいほいかかるほど現実は甘くはありません。

ただし抵抗するのはよいのですが、何が何でも技にはかからまいとして、全身を力ませてひたすら抵抗している会員さんが何人もいます。

これはよくない抵抗です。力が抜けるまではある程度の力みは仕方がないことですが、毎回全身を力ませての抵抗をしては力を抜く練習のはずが、力むクセをつける練習になってしまうのです。これでは本末転倒です。

いつまでたっても脱力は身に付きません。

抵抗は力む手前まででよいのです。自分がこれ以上抵抗したら力むと思ったら、その時点で抵抗を止め、崩れ、投げられればよいのです。抵抗できたら勝ちとか、抵抗できなかったら負けとか言った考えは捨てなげればいけません。

力んでまでの抵抗は黒帯会員さん同士の対練、組み手でも見られますので、白帯、茶帯会員さんの手本となるように黒帯会員さんは特に注意が必要です。

抵抗は全身が力む手前で止めること。このさじ加減はけっこう難しいと思いますが、会員の皆さんはしっかり意識して稽古にのぞんで下さい。

そんな稽古を続けているうちに、力まず重さで技をかけられるようになり、また力まず重さで抵抗することが出来るような身体の質になっていきます。




posted by ロン at 15:50| 日記

2022年05月16日

空体道の立禅

空体道の立禅の特徴は、身体の筋力を極力使わないようにして立ち続けることです。

筋力を使わなければ、使わないほど、身体の力は抜け、全身に重さ(重力)が通るようになってきます。

ではどうすれば筋力を最小限しか使わず、立ち続けられるようになるのかと言えば、答えは簡単です。

「筋力を極力使わないように立ち続けよう」と思いながら立禅を続ければよいのです。

あとは時間(年月)が解決してくれます。

でも私もまだまだ筋力を使いすぎて立禅をしているようです。身体の各部に微妙な力みを感じています。

しかし改めて思います。立つこと、立ち続けることがこんなにも深く、そして面白いことを。立禅、一生やめられませんね。



posted by ロン at 16:08| 日記