口(言葉)ではいくらでも嘘がつけるし、いくらでも胡麻化すことが出来ると思います。
でも身体は嘘がつけないし胡麻化すことは出来ません。これまでの人生で培った動き、癖が正直に出てしまいます。
ここが武術の面白い所かもしれません。自分の口がどんなに取り繕うと身体は正直なのです。
以前、体験に来られた方がこんなことを言っていたのを思い出します「・・・そんなはずはない。私は武術以外にもヨガ、ダンス等いろいろ学んでいるので、身体は出来上がっているはずです。先生、もう一度ちゃんと確認して下さい」
で、私が重さを何も伝えないように超加減してそっと肩を押しただけで、ぐらりと大きくよろめいてしまうのです。もちろん他の会員さん(60代後半の女性も)私が同じように押してもぐらつくことはありません。
見学者さんはこの体験がよほどショツクだったのか「おかしい。こんなはずはない。自分は出来ているはずなのに。おかしい」と言いながら帰っていきました。
この見学者さんは、自分の身体より自分の思いを信じていたのですね。でも身体の正直な反応を真摯に受け止め、そこから武術に向き合っていかないと向上は望めないのかもしれませんね。