私が本格的に中国武術を学ばせていただいた老師のおかげで、自分の武術の実力に思いあがることは一生ないと思っています。
本当に老師の実戦力の凄まじいさは桁違いでした。稽古中での凄まじい強さは無論の事、稽古後にたまに話される数々の他流試合の凄まじさ、そして路上での実戦の凄まじさを聞くにおよんで老師のように自分が生きたら、自分なんかは何十回死んでいるのかわからないと心底驚嘆したものです。
ちなみにネットなのでは、私から見てう〜んと思える実力の人が、他人のやっていることを批判して、俺は強い、俺はすごい、とか言っている動画や文章を目にすると、何んだか情けなくなってしまいます。他派のやっていることを批判している暇があったらもっと稽古したほうが良いのにと正直思ってしまいます。武術は思いあがったら終わってしまいます。
私は老師から独立して23年ほど経っていて、老師はもう日本には居らっしゃいませんので、今後会うことはないかもしれません。
でも自分なりに武術がどんなに成長、進歩、向上しても、いつでも「まだまだ甘い、未熟」と老師から頭を押さえられているような気がして、思いあがりたくても、あがることなんかは出来る訳がありません。武術を学び始めて、すぐ調子に乗りたがる私の頭を超絶な実力でぐいと抑えてくださった老師には本当に感謝の気持ちしかありません。
一生頭があがらない私ですが、これからも一生かけて武術の追求、探求を続けていきたいと思っています。