昔、武術を学び始める前、20代前半の頃、体育館の格技室にサンドバックがあったので、自己流ですがひたすらサンドバック打ちを練習していた時期がありました。
週に3回ぐらい、時間は1時間から2時間。とにかくひたすらサンドバックを打ち続けました。その成果なのか格技室で知り合いになった空手道を修行されている何人かの方とフルコンタクトルールでの組手を経験しましたが、突きの威力をほめられたことがあります。
そして武術を学び始めてからはサンドバック打ちは控えるようになりました。がむしゃらに打っては肩の力が抜けにくくなるのが理由でした。
それから何十年も過ぎて、今ではたまにですが稽古前にサンドバックを軽く打つことがあります。
で、今回は昔と今とのサンドバック打ちの意識の違いについて説明したいと思います。
昔はサンドバックを打つ場所(相手の顔とか腹とか想定して)に意識を向けていました。また自分へは打ちだす腕、拳を意識していました。
そして今はサンドバックの全体、そしてサンドバック周囲の風景(空間)に意識が向いています。また自分へは腕や拳と言った部分ではなく、全身に意識が向いているようです。
なので今はサンドバック全体、そして周りの空間を全身で突いているような感覚があります。
昔もがむしゃらですが全力で何年も打ち続けていたので、それなりに威力がありましたが、今の方が軽く楽に打っているのに、感覚的には昔の自分を間違いなく上回る威力が伝わっているのを実感します。
昔の威力はサンババックを打つ場所に拳がめり込む感覚。今はサンドバック全体が振動する感覚と言えるかもしれません。
20代の自分と60代の自分のサンドバック打ち。昨夜の太極拳教室の前に久しぶりにサンドバックを打ってそんな感想を持った次第です。