脱力の稽古を長年続けて、頭から足裏まで重さが落ち、全身に重力が通り、ほんの少しですが統一体に近づいてくると、身体の質は柔と剛が入り混じった状態になるように感じています。
会員さんは分かるでしょうが、私の身体に触れると岩のように感じたり、私が軽く会員さんの腕をたたくと、その衝撃が鉄棒のように感じられているはずです。
もちろん私はただ力を抜いているだけで、剛の身体の質にしているとか、剛の打撃に変えているとかはしていません。作為なく自然にそうなっているだけです。
一方、崩しや投げにおいては、接触点、面がとても柔らかくまるで力を感じないのに、いつの間にか崩される、投げられる経験を会員さんはしているはずです。これもただ力を抜いているだけで、作為的に柔の技をくりだしている訳ではありません。
柔と剛。この二極が私の中で一つになっているようです。柔極まれば剛と化し、剛が変化すれば柔と化す。陰陽合一。
と、まあ偉そうに書きましたが、まだまだ未熟な私ですので、その段階の入り口をうろうろしていのに過ぎませんが、それでも人の身体の可能性を実感出来ることはとても楽しいことではあります。
そして思います。私は柔の稽古を通じてその段階を知りましたが、当然ですが剛の稽古を通じてもその段階に至る方もいらっしゃることを。